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約束手形利用のメリット・デメリット【受取人向け】

約束手形とは?

約束手形とは、未来の特定の日にちに予め決められた金額を支払う事を約束した有価証券の事です。

つまり、約束手形を発行する側からすると、その場で現金がいらずに決められた日までに現金を用意すれば良いのです。

どんな時に利用する?

代表的な例で言うと、不動産会社がゼネコンに建築費の支払いをする時などに、約束手形が利用されます。

例えば、マンションの建築に1月~10月までの10か月の期間が必要で、建築費が仮に10億円だとします。

しかし、不動産会社は購入者と5月にマンションの契約を締結しても、引渡(マンション完成してから約1ヵ月後、この場合は11月頃)まではお金が入金されません。

つまり、11月にならないと購入者から代金が入金されないので、11月までに10億円全てを支払うためには手持ち資金の捻出が必要になります。

そのため、半金の5億円は8月に支払って、残りの5億は「翌年1月まで待ってもらう約束手形」を発行するなどのケースが多いです。

そうすれば不動産会社としては引渡をして、購入者から代金を貰った後に支払う事が出来るという事です。

約束手形はどうやって振り出すのか?

約束手形を振り出すには、取引中の銀行で当座預金口座を持っている必要があります。

約束手形の換金期間は支払期日を含む3営業日ですので、その期間内に銀行に手形を持ち込み換金します。

ちなみに、当座預金とは、まさにこのような手形や小切手などを決済するための口座です。

当座預金は普通預金よりも開設のハードルは高く、会社の与信や取引実績をチェックされます。

受取人にとってのメリットとは?

振出人(上記の例で言うと不動産会社)のメリットは「その場で現金が不要」などが挙げられる事は分かります。

しかし、受取人にメリットはあるのでしょうか。

結論から言うと、受取人にとって約束手形で取引をする事は、振り出し人ほどのメリットはありません。但し、受取人にも以下のようなメリットがあります。

手形割引で資金調達が可能

手形割引とは、支払期限がまだ先の約束手形を金融機関で換金する事を言います。

次項のデメリットでも出てきますが、約束手形による受取人が被る「入金が遅くなる」というデメリットを解消する事が目的になっています。

しかし、振り出しの期限が来ていなので、振出人はお金を支払っているワケではありません。

そのため、手数料や利息(期日までの日数分)を引いた金額で、手形を「金融機関に買い取って貰う」、もしくは「融資」してもらうというイメージに近いです。

手数料や利息(期日までの日数分)を引いた金額になるため、受取人は額面より少ない金額を受け取ります。

そのため手形「割引」と言います。運転資金などが必要で多少金額が減っても良いから「早く受け取りたい」のか、早急に現金が必要なワケではないので「所定の期日まで待つ」のかを受取人は選択できます。

ただし、金融機関にとってみると「融資」に近いので、手形割引を金融機関から断られる場合もあります。

交渉の際に有利な立場の時もある

上述のように、約束手形は主に振出人のメリットが大きいです。

上記のような「手形割引」などもありますが、そもそも現金で支払ってもらえれば手形割引は必要ありません。そのため、支払いに関して言うと受取人の方が「有利」な立場になっているのです。

但し、交渉の際に有利かどうかは、業界や、そもそもの企業間の力関係によって異なります。

例えば、先ほど例に出した不動産業界の建築費支払いなどは、約束手形で支払うのが一般的です。つまり、それが「当たり前」のため、これによってゼネコンが優位に交渉を進められるワケではないのです。

受取人にとってのデメリットとは?

一方、受取人のデメリットはどんな点でしょうか。デメリットは以下の通りです。

回収できない可能性がある

仮に、「3か月先に3億円の支払いをする」という内容の約束手形をA社が受け取ったとします。しかし、A社がその間に倒産してしまったり、振り出すはずの口座に残金がなかったりする場合には約束手形の振り出し(現金の引き出し)ができません。

このような、いわゆる「手形の不渡」という状態になった場合でも手形の効力は無くなりません。しかし、振出人に支払い能力が無い場合には、結局代金は回収できずに約束手形は紙切れに代わってしまうのです。

キャッシュフローが悪化する

約束手形は数か月先の支払いになるので、現金として会社に入金されるタイミング遅いです。そのため、その間のキャッシュフローが悪化してしまいます。

例えば、先ほどの不動産会社とゼネコンの例で見てみます。ゼネコンは不動産会社から建築費用の半金5億円を受け取るのは建物が完成してから数か月後です。

しかし、その数か月の間には建築に関わった人の人件費や建築に必要な資材の仕入れ費などを支払う必要があります。

建築費が現金で支払われていれば、不動産会社から貰う建築費用で賄う事ができます。

しかし、約束手形で支払われているので、手持ち資金を捻出しなければいけない時もあります。したがって、自社のキャッシュフローが悪化してしまうのです。

まとめ

基本的には受取人にはデメリットの方が大きいです。

しかし、大きな額の支払いですと、どの会社もキャッシュフローが厳しく、商慣習的に約束手形で支払う場面も多く見受けられます。

はっきり言えば現在は手形は時代遅れです。

最近では手形の割引に変わる手法としてファクタリングが注目を浴びています。

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