永遠に借り続ける姿勢「無借金経営は目指すな」
最終更新日:
監修:行政書士 渡邉徳人(行政書士事務所WITHNESS 代表・熊本県行政書士会 第05430405号)最終更新日:
起業家や経営者が陥りやすい考え方のひとつが、「借金は悪だから、早く無借金経営にしたい」というものです。しかし、事業のための借入れは、上手に続けていけば、会社を守る力になります。
借入れと手元資金
「借金はないが、手元の現金もほとんどない会社」と、「借入れが5,000万円あるが、手元に5,000万円の現金がある会社」。どちらが安心でしょうか。
急な売上の減少や、大きな支払いがあったとき、持ちこたえられるのは手元に現金がある会社です。使わない資金を借りると利息がもったいない、という声もありますが、利息は、いざというときの安心と、金融機関との信頼関係を築くための費用と考えることもできます。
住宅ローンと比べてみる
住宅ローンには家族も賛成するのに、事業のための借入れには反対される、ということがよくあります。利息の負担を比べてみましょう(金利は例です)。
住宅ローン:5,000万円、年1.0%、35年返済
- 毎月の返済額:約14万1,000円
- 利息の合計:約928万円
事業の融資:5,000万円、年2.5%、7年返済
- 毎月の返済額:約64万9,000円
- 利息の合計:約455万円
返済期間が長い住宅ローンのほうが、利息の合計は多くなります。しかも、事業の融資は、うまく使えば利益を生む投資です。もちろん、事業の融資は毎月の返済額が大きく、借りたお金を確実に返せる事業の計画が前提です。
借り続けないとどうなるか
創業時に借りた融資を完済し、何年も借入れのない期間が続くと、次に借りるときは初めての取引に近い扱いになり、審査に時間がかかることがあります。
一方、返済を続けている途中で追加の融資や折り返し融資を申し込むと、それまでの返済の実績が評価され、決算書と試算表を中心にした審査で、比較的スムーズに借りられることが多くなります。初めての融資と2回目以降の融資では、難しさがまったく違います。
プロパー融資を受けられるようになる
信用保証協会の保証付き融資では、保証料がかかります。たとえば1,500万円の融資で、保証料などに数十万円かかることもあります。保証協会を通さず、金融機関が自らのリスクで貸すプロパー融資なら、保証料はかかりません。
創業したばかりの会社がプロパー融資を受けるのは難しいですが、保証付き融資を借りて、きちんと返済を続けていくうちに、プロパー融資を受けられるようになることがあります。返済が進んだら、次はプロパーでの借入れを相談してみましょう。
借りては返すを続ける
私自身も、事業のための借入れを親戚にとがめられたことがあります。一時期、無借金になったこともありますが、それは自己満足にすぎなかったと感じています。
借りては返し、返してはまた借りる。これを続けるうちに返済の実績が積み上がり、金融機関からの信頼も高まります。その結果、資金調達にかかる時間や費用が減り、手元資金にゆとりのある経営を続けられるようになります。
ただし、借入れは身の丈に合った金額で、返済の計画を立てたうえで行うことが大前提です。
参考:借りれる時に借りておく
※制度の内容や金利は変わることがあります。最新の情報は、日本政策金融公庫・信用保証協会・各自治体など、各機関の公式サイトでご確認ください。